カザフスタン、3月1日から単一タイムゾーン導入

(カザフスタン、中央アジア)

タシケント発

2024年02月20日

カザフスタンは3月1日午前0時から、単一タイムゾーンを導入する。貿易・統合省が1月19日に発表した(カザフスタン貿易・統合省ウェブサイト1月19日)。

国土が東西約3,000キロに広がるカザフスタンでは、首都アスタナや最大都市アルマトイなどの標準時(協定世界時UTC+6)とは別に、西部の西カザフスタン州、アクトべ州、アティラウ州、クズルオルダ州、アクタウ州の5州が採用している西部時間(UTC+5)が存在する。単一タイムゾーン導入で、標準時をこの西部時間と同じUTC+5に統一する。

タイムゾーン改正については、地理的な整合性がとれていないという国民の声が以前からあった。同省は2023年2月、議会や中央・地方政府、科学研究機関、医科大学などから有識者を集めた作業部会を組織し、医学、生理学、地理学、計量学の観点からカザフスタン全土に適した標準時間について議論を重ねた上で報告書を作成し、公聴会にかけて導入を決定した。タイムゾーン単一化で地域住民間の時間的障壁がなくなり、交通・通信の円滑化、ビジネス環境の改善、中央と地方行政の連携強化が期待できると同省は述べている。

今回の単一タイムゾーン導入を歓迎する声がある一方、反対も出ている。東部の東カザフスタン州では、標準時間の変更に反対する住民が州知事に訴えるなどの動きも見られた(ウリスメディア2023年12月17日)。また、専門家の中には、タイムゾーンの変更が住民の健康や労働環境にどのような影響を与えるのか精査した上で行うべきで、今回の変更は性急だと指摘する者もいる(フォーブスKZ 1月29日)。

中央アジア5カ国の標準時のうち、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタンがUTC+5、キルギスがUTC+6を採用している。カザフスタンに続き、キルギスでも標準時をUTC+5に変更するべきという機運が高まっており、2023年12月に共和国国会でこの問題の議論が始まっている(「ロシア新聞」2023年12月6日)。

(増島繁延)

(カザフスタン、中央アジア)

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