日本相撲協会は27日、東京・両国国技館で大相撲秋場所(9月11日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、金峰山(25=木瀬)の新十両昇進が決まった。カザフスタン出身として初の関取となり「世界的に関取はいるけど、カザフスタンで初めてが一番大事。うれしいなあ」と誇らしげに笑った。自身の活躍で母国の相撲ファンが増えることを願っていた。

もともとは柔道をやっていたが、元横綱朝青龍のダグワドルジ氏から「相撲を覚えれば強くなる」との誘いを受けて18歳で来日。日大相撲部では20年の学生選手権個人4強に輝き、翌21年11月の九州場所で三段目100枚目格付け出しでデビュー。191センチ、165キロの恵まれた体格で、突き・押し相撲が得意だ。

西幕下筆頭として臨んだ今月の名古屋場所では6勝1敗。幕下優勝こそ逃したが、入門からわずか5場所でのスピード出世で十両昇進を決めた。「『けがをしないように』と師匠の言うことをちゃんと聞いて、上がることができてよかった」と振り返った。

師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)は「入門したときから関取の力があったから、負けながら勉強していくんだろうなと思っていました」。自身の故郷熊本の山(金峰山)をしこ名に付けたことについては「誰かにつけたかった。故郷に恩返しできた気持ちになりますよね。とりあえず十両に上がったことでホッとしてます」と心境を述べた。来場所から15日間相撲を取ることになる上でのアドバイスとして「心のスタミナをつけてほしい」と訴えた。

同じ木瀬部屋には幕内の宇良、志摩ノ海を筆頭に、関取衆がこれで6人在籍することになった。他にも角界初の東大出身で序ノ口の須山が在籍するなど個性豊かな人材がそろう。師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)は「みんなが仲良くやっている。ここが悪いなら悪いと先輩が言ってくれる、それがいいと思っています」と風通しの良い環境が多くの有望力士たちを育てる要因になっていることを挙げた。

十両昇進を決めても、浮かれることはない。金峰山は「(目標は)何もないですけど、上ばかり考えて上がれなかったらアウトなので、幕内なら幕内で1つずつ考えたい」。磨き上げた自慢の突っ張りを武器に、一歩一歩階段を上っていく。