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日本の官民が、中央アジアのトルクメニスタンと脱炭素やエネルギー分野で連携を強化する。政府間で協力の覚書を交わし、川崎重工業と伊藤忠商事が同国の天然資源を活用した大型プロジェクトに協力する。中央アジアでは近年、中国やロシアの影響力が強まっており、得意とする環境分野での貢献で対抗する。
斎藤経済産業相とトルクメニスタンのメレドフ副首相が22日にも会談し、覚書を交わす方向で最終調整している。燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない水素・アンモニア、CO2回収などの日本の技術を導入することを念頭に、政府間の協力方針を覚書に盛り込む。トルクメニスタンの脱炭素化に向けた工程表の作成も支援する。
トルクメニスタンは世界有数の天然ガスの産出国だ。川崎重工や伊藤忠は、生産時に漏出する温室効果ガスのメタンを回収し、ガソリンの原料として利用するプラントの建設に向けて同国の国営化学公社と協議に入る。事業規模は数千億円に上ることが想定される。
トルクメニスタンでは、天然ガスから肥料の原料となるアンモニアや尿素を作るプラントの更新も予定されており、両社は資機材の導入や人材派遣などで協力する。日本政府が全額出資する「日本貿易保険」の保険付き融資も検討する。
トルクメニスタンを含む中央アジア5か国はエネルギーや鉱物資源が豊富で、中露が首脳間の会談を通じて浸透を図っている。日本も年内に、5か国と首脳会議を初開催することで調整しており、9日にウズベキスタン、カザフスタンと同様の覚書を結んでいた。残るタジキスタン、キルギスとも連携強化を図る。