日本とカザフスタンのビジネス、新分野の企業からの提案

(カザフスタン、日本)

調査部欧州課

2023年11月21日

東京で11月1日に開催された第8回日本カザフスタン経済官民合同協議会の第2分科会「日本・カザフスタンビジネスにおける新分野」では、医療、リサイクル、防災などの新分野でビジネスを展開する日本企業・組織の代表者がプレゼンテーションを行った。

国際メディカル・コーディネート事業者協会(JIMCA、東京都港区)の山田紀子代表理事によると、JIMCAは医療滞在ビザ発給の身元保証機関登録をしているコーディネート事業者5社が理事企業となり、国内130カ所の医療機関と提携して訪日外国人向けに医療サービスを提供している。2022年の医療目的での来日者数は1,804人で、うち25人がカザフスタンからだった。

軽工業の業界団体であるカズ・テキスタイル・インダストリーのグルミラ・ウアヒトワ会長は、独立後に落ち込んだカザフスタンの軽工業を往時のレベルまで復興すべく、日本製の紡績・縫製機械の導入、付属品製造での合弁事業立ち上げ、有名ブランド品のカザフスタンでの縫製などを提案し、日本との協力に期待を寄せた。

ブックオフコーポレーション(神奈川県相模原市)海外事業支援部の小野沢孝治チーフマネージャーによると、同社はカザフスタンで2022年にリユース品販売事業を開始した。現地企業を支援するかたちで、アルマトイにある2店舗を運営している。2023年9月に開店した2号店は品質重視で、ブランド衣料品コーナーもある。2024年に事業を合弁化した後、カザフスタン全土への展開を計画している。

カザフスタンでスタートアップ企業を支援するテクガーデン基金は、鉱工業に特化した最先端のITサービスを提供しており、現在200のスタートアップをITハブとして支援している。バウルジャン・カンキン総裁は、活動の中心はカザフスタンだが海外展開も始めており、日本のスタートアップの進出支援などで協力できるのではないかと述べた。

写真 テクガーデン基金のプレゼンテーション(ジェトロ撮影)

テクガーデン基金のプレゼンテーション(ジェトロ撮影)

ファイテック(愛知県丹羽郡大口町)は、森林火災用消火剤とヘリコプターへの消火剤注入装置を開発しており、世界48カ国で同社製品が採用されている。近年、森林火災が地球規模で深刻な問題となっている中、カザフスタンでも2023年6月に大規模な森林火災があった。林富徳代表取締役は、カザフスタンに火災対策の技術移転を行うことで森林資源を火災から守り、二酸化炭素排出削減に貢献していくと述べた。

テクノソリューション(東京都中央区)は、地域活性化のため地方の教育機関と協力してビジネス開発を行っている。坂口憲一取締役事業部長は、カザフスタンのスタートアップに、地方においてスマート農業やエドテックの分野で連携しようと呼びかけた。

(小林圭子)

(カザフスタン、日本)

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