北海道がIT、水産加工、寒冷地技術などの分野で中央アジアへの展開を模索

(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、北海道)

調査部欧州課

2024年02月05日

北海道経済産業局は1月25日、北海道庁、国際協力機構(JICA)との共催で、札幌で中央アジア・ビジネスセミナーを開催した。2023年11月に道内各組織が中央アジアにIT、保健医療、寒冷地技術、水産加工の各分野で調査ミッションの派遣や外国人材誘致活動を行った。セミナーでは、中央アジアを訪問した関係者から出張結果と今後の参入可能性について報告が行われた。

ウズベキスタンには、道庁がIT、保健医療分野の専門家を派遣して調査を実施した。IT市場調査に参加した北海道IT推進協会の里見英樹副会長〔メディア・マジック(札幌市)代表取締役社長〕は、最近ロシアやベラルーシなどからIT人材が流入するウズベキスタンではIT市場が成長しているとし、現地教育機関と連携してカリキュラムを開発し、育成した人材を日本企業につなげる構想を語った。

北海道医療大学リハビリテーション科学部(当別町)の小島悟学部長によると、ウズベキスタンでリハビリ専門人材が不足していることから、現地医療機関から人材育成での協力要請があったという。専門家派遣や研修生受け入れを通じた育成に可能性があると指摘した。

カザフスタンには、北海道経済産業局とJICAが共催で水産加工と寒冷地技術分野の調査ミッションを派遣した。調査に参加した同局国際課の西村学課長補佐によると、現地では水産加工分野の関心が高かったという。アスタナとアルマトイで開催したセミナーと個別商談会は、両会場とも盛況だった。水産加工メーカーのタイヨー製作所(北斗市)の丸山浩平代表取締役は、今後は本気度を確かめたうえで、現地大手企業から信頼関係を構築したい意向を示した。

作業用手袋を主に取り扱う卸売企業で、ロシアビジネスの経験も持つ青井商店(旭川市)の青井貴史代表取締役は、寒冷地技術分野の調査に参加した。青井氏は、カザフスタンでは同社が取り扱う高機能商品の流通が少ない点や、1人当たりGDPでは中国やマレーシアと同水準であることを指摘し、有望な販売先とみているが、カザフスタンまでの物流を課題に挙げた。同社だけでは取り扱う物量は多くないため、複数企業がまとまり混載輸送による取引を提案した。

中標津町は、ウズベキスタンとキルギスで外国人材誘致のためタウンセールスを実施した。同町では2021年に日本語学校が開校したほか、2024年4月に根室管内初の高等教育機関としてIT専門学校が開校する予定で、外国人材誘致に乗り出している。セールスを行った同町経済振興課の佐瀬光史課長は、キルギスでは大学進学率が5割程度と高く、ウズベキスタンと比べて女性の留学や海外での就労意欲が高いためポテンシャルがあると評価した。

(浅元薫哉)

(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、北海道)

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