タジキスタン・ビジネスセミナー開催、関係者が対面で情報交換

(タジキスタン、日本)

調査部欧州課

2024年02月16日

タジキスタン・ビジネスセミナーが2月8日に東京で開催された。在日タジキスタン大使館と国連工業開発機関(UNIDO)が共催した。ミルゾシャリフ・ジャロロフ駐日タジキスタン大使の基調講演「タジキスタンにおける経済・投資機会」の後、同国に進出している日本企業2社が事業内容に関するプレゼンテーションを行った。

ジャロロフ大使によると、タジキスタンは国土の93%を山地が占める山岳国で、鉱業、水力発電、農業、観光、建材製造を主要産業としている。特に水力発電は同国が有する豊富な水源と大きな標高差を生かすと、世界第8位の発電能力があると評価されているという。実質GDP成長率は2011年以降おおむね6~7%で推移し、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で4.5%と落ち込んだが、2021年は9.2%、2022年は8%だった。主要輸出品目は鉱物(34%)と貴石・半貴石・金属(25%)、ほかに、綿・綿製品や一次アルミニウム、電力、セメント、野菜・果物などがある。

今後の有望なビジネスの分野として、ジャロロフ大使はガラス製造を挙げた。ガラスはこれまで、近隣国のキルギス、カザフスタンなどから輸入していたが、都市部でのビル建設が盛んになって需要が高まっている。シリコンをはじめ、ガラス製造に必要な天然資源を全て国内調達できるので、資金があればすぐにでも着手できるプロジェクトだと紹介した。日本企業からも事業内容に関するプレゼンテーションがあった。

五常・アンド・カンパニー(本社:東京都渋谷区)は2014年に設立され、途上国で中小零細企業向け小口金融サービス(マイクロファイナンス)を展開している。現在、インド、カンボジア、スリランカ、ミャンマー、タジキスタンの5カ国にある8社のグループ会社を通じて、100万人以上に融資を行っている。タジキスタンでは、2022年に同国の主要な預金取扱マイクロファイナンス機関でフィンテック企業でもあるフモに投資し、同社の過半数の株式を取得した。フモはグループ企業内で2番目に規模が大きいという。

宏輝(本社:東京都千代田区)は、甘草(カンゾウ)から抽出する医薬用グリチルリチン酸モノアンモニウムで世界最大の出荷実績を誇るメーカーで、タジキスタンでは2011年にハトロン州に合弁会社アバリンを設立した。これまでに、甘草の根から抽出した濃縮甘草CGA(粗グリチルリチン酸)を日本向けに1,000トン超輸出した。CGAは漢方薬のほか、甘味料、化粧品の原料として使用されている。同社は原料となる甘草の安定確保のため、栽培面積を拡大する意向だ。

(小林圭子)

(タジキスタン、日本)

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